北極星みたいな猫
今日、小説『北極星みたいな猫』を全話公開した。
書いたのは大学三年生の頃だったと思う。二ヶ月くらいかけて、やりたいことをやりたいように、ほとんど無秩序に書いてできた小説だ。
ルールらしいルールはなく、これといったテーマもない。語感の良さ、筆のノリ、気分、体調、その場の雰囲気、そういったものが詰まっている。
だからそう、いってしまえば、猫みたいな小説だ。
この小説のほとんどの文章を書いた場所である地元の喫茶店はつぶれ、いまではステーキ屋になっている。ポットで出てくるミルクティーはもうないし、端の席だけコンセントを使える喫煙席も、もうない。けれどもそれらが確かにあったことを、小説を読み返すと思い出す。
自分の人生の一部をちぎり取って小説はできあがる。
それを時々、嬉しく思う。