睡魔
昼は眠くないときがない。
私という存在には「まどろみの」という枕詞がついているのではないかというぐらい、常に眠い。実際、学生の頃は名前の前に「まどろみの」が付いていた。そういうあだ名だった。事実である。なにしろほぼすべての授業で寝ていた。
夜に寝ていないから眠いのではないか、とよく指摘される。
学生時代は確かに寝ていなかった。夜は脚本か小説を書き、日中は眠り、また夜になれば書いていた。学校が嫌いだったのも小説が書けないからだ。勉強自体は大好きだった。今も会社が嫌いだが、仕事自体はそこまで嫌いではない。いや、これは嘘だ。仕事は嫌いだ。会社は憎い。
だがいま、とりあえず夜は寝ている。
社会人だからだ。明日も仕事である。遅くとも一時半には寝る。職場まで徒歩十分なので朝はのんびりできる。よって八時半まで寝ている。都合七時間睡眠だ。恵まれた生活である。
だが眠い。
なぜこんなに眠いのか。
思うに、学生時代に昼夜逆転生活が長かったため、私の自律神経は完全に破壊され、もう朝方には戻れないのだろう。現に社会人になってからというもの年単位で朝型生活だが、体内はちっともそうではない。夜型である。日中は眠い。さながらマリオネットである。自分の意思とは無関係に、日中にふらふらと動き回る。
現在深夜一時。
脳はフル稼働している。
こうして今日も覚醒した脳を布団に沈ませ、虚ろな脳で明日は仕事に向かう。なんてままならない人生。
イルミネーションが点る季節になった。サンタに何かを願うなら、私は朝方体質になれる魔法の粉をくれと願う。仮にその粉が半日しか効かなくても願う。薬効が切れるたびにサンタの膝にすがりつき、「粉……頼むよ……粉を頼むよ……」とあえぐ。
そういやサンタは夜型か。
じゃあ粉は駄目だ。たぶんあのじじいはくれない。自分が吸うのに使うだろう。