I,Tonya(2018)

出典:https://www.itonyamovie.com/

 アメリカ人女性で初めてトリプルアクセルを跳んだ、トーニャ・ハーディングの生涯を描いた物語。

 圧巻。親が高収入でなければ続けることすら難しい、華やかなショービジネスの世界であるフィギュアスケートで、貧困家庭に生まれたものはどう闘ったか。持ち前のセンスと情熱、そして圧倒的な努力の末に辿り着いたトリプルアクセルという偉業と、そうして辿り着いた場所からやはり貧困ゆえに崩れ落ちていく様のもの悲しいこと。

 彼女を一言でいうとアメリカだ、というセリフで映画は始まる。

 なのに作中、「どうしてわたしに点数をくれないのか」とトーニャが審査員に詰め寄ると、審査員はオフレコで頼むよと前置きしたうえで「我々が見たいのは、理想的なアメリカの家庭なのだよ」と言われる。金がないので満足なドレスを買えず、教養がないので言葉遣いの荒いトーニャは、大衆から望まれなかった。

 でもそれがアメリカなんだぜ。そんな脚本家の皮肉が、耳元で聞こえたような気がする、いい映画だった。

 

 すべてが終わった後、当事者たちからインタビューを受ける、というシーンの合間に、回想で物語が進行するスタイル。『ウルフオブウォールストリート』でちょいちょい出てきた外連味を思い出す。

 主演女優はマーゴット・ロビー。スーサイド・スクワッドで最高に美しいハーレイ・クインを演じた人。この映画でも格好いい。でもいまやってるハーレイ主役の映画はまったく興味がわかない。予告映像なんか顔の白塗りが強すぎて魅力が死んでる。というかジョーカーと別れたんならまず白塗りをやめねえか普通?

 トーニャの母親を演じたアリソン・ジャネイはこの作品でオスカー助演女優賞を受賞。せやろな、という感想。なにしろすごい存在感。

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